建築写真とは、一般的には建築物を対象に撮影した写真のことを指します。その目的は建築物の外観を的確に把握するためであることが多いのですが、印象的な場合にはその景色を含めた造形を全体の芸術的なものと捉えて撮影をしたり、自然の光や周辺の景色との融合を適切な効果を狙って撮影をすることも少なくありません。その用途は非常に多岐にわたっており、撮影をする写真家の目的やその写真が果たすべき目的によって用途が異なってくるものとなっています。
建築の世界で必要な写真の場合には、建物の状況を客観的に把握するための資料に利用される場合がほとんどです。一般的に設計を行う場合には自分の総合的なイメージをもとにそれぞれの部品を設計し、これを組み合わせて1つの建物とすることが多いのですが、実際には離れてみた場合の全体のバランスがなかなか把握しにくいと言うことも少なくありません。さらに人間の目には様々なものが平面的に見えることも多いため、角度の異なる写真を撮影することでその見え方を比較し、詳細なデザインを変更したり、様々な造形を加えると言うこともよく行われています。そのため写真は非常に重要な役割を担っているばかりでなく、多くの設計者は自分以外の客観的な判断を下すための重要な道具に利用していることも多いのがポイントです。
また写真は様々な造形を切り取ることができると言う特徴を持っており、これを建築写真に生かすことで自分自身の興味を満たすためのものに利用されることも多いのが実態です。写真家の中にはこれらの建物を中心に撮影を行っている人も多く、街で見かけた珍しい建物を撮影することで様々な記録を残していると言う人も増えています。この場合には付近の街並みやその時の天候や、場合によっては周辺の人々なども一緒に撮影することで建物が置かれている雰囲気などを同時に切り取り、記録に残すことができると言うメリットも持っているのがポイントです。
最近では建物に関する新たな技術が進んでおり、昔ながらの建物かどんどんと失われている傾向が強いのですが、この昔の建物を記録に残すことで歴史を目に見える形で刻むことができるメリットがあります。単なる確認のためのものではなく、様々な時代の状況を伝えるための重要な情報に利用されることも多い貴重な資料となっているのです。そのため、一般的には業務の上での確認のために利用されることが多いのですが、その他にも様々な用途に利用されており、非常にその範囲が広い写真と言うことができます。