建築技術者と建築家は名前が似ているので、一見するとイメージも近いものになりがちですが、実は近いようで仕事内容が異なります。前者は設計や施工が主な仕事ですが、素材を研究開発したり、教育や行政に関連する業務もあります。一方、後者は建物の設計と工事の監理が仕事内容となりますが、特定の資格を指す肩書ではないです。
資格の方はいわゆる建築士というもので、建築家が建築士の資格を持っているとは限らないことに注意が必要です。建築技術者は建築エンジニアとも呼ばれますが、これは建築業に関する専門的な技術を持ち、仕事の従事しているのが理由です。建築技術者、建築エンジニアの大半は建築関連のエンジニアリング会社に勤務で、中には自治体で仕事をしている人もいます。
日本だと建築を始めとして土木や測量、住宅やその他の建築物の建設と改修や維持、計画と設計に工事監理、技術指導や施工管理と検査に関わる仕事があります。この幅広い仕事内容が魅力の1つで、社会に役立てる実感が得られたり、経験を増やし技術を磨いて活躍できる将来性に繋がります。建築家の方はというと、仕事内容がデザインに比重を置く点が大きな違いで、芸術的な観点においても仕事の役割がかなり異なります。建築士の資格で働ける仕事は魅力的ですし、将来性でいえば引けを取りませんが、活躍できるかどうかは本人のセンスや技量によります。
建築技術者のように、専門知識と技術が求められますから、覚えることは沢山で日々知識や技術をアップデートする必要もあります。しかし建築家に限ると日本における定義は曖昧で、技量や実力の個人差が大きいことから、国家資格の建築士と混同しないことが大切です。余程の著名な人物でない限り、自称で名乗る人の実力や実績は分からないので、そこをよく見極めることが必要になるでしょう。逆にいえば、仕事をする人は国家資格を取得した上で名乗った方が信頼されたり、仕事の依頼が来る可能性が高くなることを意味します。
建築エンジニアも何らかの資格を持っているのが普通ですから、芸術家として建物をデザインする仕事に魅力を感じる人も、やはり何かしらの資格がある方が役立ちます。名前が似ているからといって、資格なくして建築士や建築エンジニアは名乗れませんし自称することもできないです。その点、自称が許される肩書の建築家は都合が良いですが、そもそも資格がないと仕事はできないので、資格が重要な場面において違いが現れてきます。どちらも魅力的ではありますが、従事できる仕事内容の広さや魅力、将来性の観点でいえば建築技術者、建築エンジニアに軍配があがります。